Beast Love
「あはは。しょうがないから、叶えてあげる」



キスする瞬間にばれそうになる、胸の高鳴り。



瞳を開ければ、優しく髪を撫でてくれるあなたが、たまらなく恋しい。



笑い合い、一瞬の愛おしい時がふたりを包む。



「あ! そうだ。大事なこれ、渡しておくね」


仲間たちから預かった卒業証書を手渡せば、彫刻のように綺麗に型取られた唇が、思い出したかのように言葉を紡いだ。



「まぁ、今さらだが…………”ただいま”、」


「うん、”おかえりなさい”!」


猛獣に感化され、愛を求める獣と化した。


もうこの手は、離さない。


離したりはしない。



従順な飼い犬のように、私はいつでも見えない尻尾を振って、貴方を待っている。




















【完】





< 539 / 548 >

この作品をシェア

pagetop