Liebe


「あれ……違いました?」

「誰から、聞いたんだ」

「ダニエルさんですけど……」

不安そうに眉を下げるエリー。
ウィリアムは一度咳払いをして、フォークを手に取った。

「……嫌いでは、ない」

そう言って次々と料理を食べていく。
その光景にエリーは嬉しくなって、共に夕食を堪能した。



一日中引きこもっていた疲れからか、それとも別の理由があるのか、ウィリアムは少し頭を押さえて水を飲んでいた。

「あの、ウィリアムさん」

そんなウィリアムにエリーはおずおずと切り出す。
しかし言葉の続きを待たずに、ウィリアムは無言で部屋を出て行った。

何か怒らせるようなことをしてしまっただろうか、とエリーの顔が青ざめる。

しかしウィリアムはすぐに帰ってきた。
そうしてテーブルの上に置かれたのは、一冊の本だ。
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