弟はドラゴンで
告白されるのなんて人生で初めてで、こういう時、どうすればいいのか本気でわからなかった。
でも、顔が熱いのはわかる。
どんどん、自分も顔が赤くなっていってるのを感じていた。
なんていうか、恥ずかしくて。
「…………あ、え、いや……わたし……こういうの、初めてで……なんていか、どうしたらいいのか……」
驚きと緊張で頭が真っ白になってしまう。
息継ぎを忘れて、言葉が途切れ途切れにしか発せられない。
まるで、自分が告白でもしているかのような、そんな錯覚に陥る。
告白したことないんだけれども……。
「うん、だから……さ、全然時間置いてくれていいから。真剣に、考えてほしいんだ。俺とのこと。お願いします」
そう言って柳くんは私の手を取り、きゅっと握った。
龍以外の人に手を握られたのは初めてで、手の大きさとか、温もりとか、全部が違うんだということを知った。
「…………!!わ、わかったから、手……!!」
恥ずかしすぎて柳くんの顔を見れず、ただ言葉を放つしかできない。
握られた手を離してもらうと、柳くんは、「じゃあ、返事、待ってるね」と言って、私の前から去っていった。
……な、なんだったの、今の……。
私……告白された……!?
いやいやいや、全然実感湧かないんですけど。
「考える」って!?
何を考えるの!?
付き合うか付き合わないか……ってこと!?
……柳くんと……付き合う……?
や!誰かと付き合うとか、全く想像できん!!
付き合うって、なに!?
あれだよね!?
付き合うって、で、デートしたり……
手を繋いだり……
き、キス……したり……
って、こと……ですよね!?
柳くんは……私とそうなりたいってこと!!?
い、いや、そこまでは考えすぎ……?
そういうことじゃない……?
じゃあ、どういうことッ!!?
もう全くわからん!!
「はぁぁ……」と溜め込んでいた息を吐き出すと、それと同時に力が抜けた。
その場にぺたんと座り込み、頭をくしゃくしゃとかく。
夢でも見ているのではないかと思ったけど、そうでもなさそうで。
まず、自分が「告白された」という現実を受け入れることが、困難であったのだ。