恋は、秘密主義につき。
4-2
大型連休明けで気が抜けてしまっている人や、慌ただしく動き回る人。
社内に漂う空気も、どこか混然としています。

一実ちゃんには征士君のことも訊かれて、ところどころ自己編集しながら話したつもりでしたが、結局ほとんど吐かされてしまいました。

『ストーカーのお兄ちゃん課長』呼ばわりされているたぁ君も、しばらくは忙しそうで。
ゴールデンウイーク中は、家族サービス優先を奥さまの愛花(まなか)さんから言い渡されていたらしく、電話で一回話したきりでしたっけ。
エントランスを通り過ぎるたびに、たぁ君から送られる視線は心なしか、捨てられた子犬のように悲しげに見えました。




すっかりいつもの日常が戻った、そんな頃。
征士君の誕生日について相談するべく、私は一実ちゃんを夜ご飯に誘ったのでした。


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