恋は、秘密主義につき。
私の反応に気付かなかった三人は、訝し気に一斉に振り返り。真ん中の男の子が、黒いシャツ姿の佐瀬さんを上から下まで舐めるように不躾な視線を送る。

「オジサンが先約って、イミ分かんないけど。横取りなら止めときなよ、オジサンにはハードル高いっしょ?」

口角を上げ、挑発するかの口ぶり。
対して佐瀬さんは相変わらず、気怠そうに頭を掻くと億劫そうな溜め息を吐いた。

「あー・・・分かったけど、取りあえずお宅らは他あたれば? そっちの嬢ちゃんイヤがってンだろ」 

「はぁ?」

剣呑な眼差しで睨めつけ、鼻で笑う男の子。

「なにそれ。ナニ気取り? 調子こいてると痛い目みるよ? 俺、わりと負けナシなんだけど!」

腕に覚えがあると匂わせて不敵に。

佐瀬さんは表情ひとつ変えずに、やっぱり面倒臭そうで。私はハラハラするより、ドキドキしていました。彼が。この状況をどう切り抜けるのか・・・と。
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