恋は、秘密主義につき。
空(くう)を仰いだ彼の眼差しが。ゆっくりと降りてきて。

色を消した揺らめきを放ちながら。音もなく。

・・・すっと細まった。



静かに。

捕らえた獲物を気圧し。

見えない鉤爪をその急所に突き立て。

一切の容赦もなく、圧倒する。


これが、彼。
佐瀬雅之という人。



一瞬の閃光のように。瞬間で。ナニカガ。弾け散って。
胸の奥の、もっと真ん中が。きゅう、と苦し気に鳴いた。


うねるように激しく脈打つ心臓が。
血でもない、別のモノを全身に噴き出させるのを。

止められなくて。震えていました。


自分ではもう。・・・どうしようもなく。
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