恋は、秘密主義につき。
4-5
行き先は結局、一実ちゃんが前に一度来て美味しかったという、アジアンダイニングのお店になった。

店内は南国のリゾートチックな雰囲気で、見回しても女性客が多い印象だった。聴こえてくる笑い声もお喋りも、陽気で楽しそうに。

佐瀬さんには煩いかと少し心配したけれど、気にする様子もなく料理に箸を伸ばしていたし、一実ちゃんに話しかけられれば相変わらず気安い会話を交わしていた。


「美玲、これ食べてみてよ、美味しいから!」

馴染みがある生春巻きやタンドリーチキン以外の、モモという蒸し餃子や、サモサという三角の揚げ餃子?を、一実ちゃんがせっせとお皿に取り分けてくれます。

「・・・甲斐甲斐しいねぇ」

「そういう性分なの。誰にでもってワケじゃないけど」

ふっと笑った佐瀬さんに、ニッコリ返す彼(彼女)。

「だから、割とお節介なコトもするの」

どこか意味深だったのを。私はまるで気付きもしませんでした。

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