恋は、秘密主義につき。
あの夜から。征士君からのラインと電話は、回線ごと切れてしまったかのように途絶えていました。

毎日の習慣って言ってしまってもいいくらいに、届いていたメッセージ。
少し空虚な気持ちがしてしまうのは罪悪感なのか、・・・幼馴染みを失くした寂しさと呼んでいいものなのか。

この沈黙が続くのだとしても、なにかのアプローチがあるのだとしても。私の気持ちは決まっています。揺らいだりもしません。胸の中で小さく吐息を逃す。

「ストーカーみたいにウロウロしてたら、佐瀬サンが気付くハズだしねー。もし会いたいって言われて、美玲が断れないならボクが追っ払ってあげる」

男の子口調で、向かいからニッコリ一実ちゃんが笑います。ちょっと目が本気っぽいです。

「えぇと・・・そうですね。征士君は無理矢理なことはしないって思いますけど、困った時にはお願いします」

「そういうトコが心配なのよねぇ、美玲は。信用しすぎっていうか」

今度は、『お姉さん』の困り笑いで。

佐瀬さんにも言われましたっけ。少しは人を疑えって。
・・・・・・・・・・・・。
色々と思い返せば、ふーちゃんにもよく叱られますし。
もしかして。そんなに頼りないんでしょうか・・・? 頭を捻ってみる。

なんだか初めて、自分を見つめ直そうと思った私です。
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