恋は、秘密主義につき。
ふーちゃんが家に滞在する間は会う機会も減るだろうと、ここを出なくてはいけない時刻のぎりぎりまで、佐瀬さんの中に閉じ込められていました。

胸、腰、脚の付け根にいくつも散らされた紅い跡。
着替えて洗面台を借り、お化粧直しをしている間に、後ろから髪に隠れるうなじにも。

「躰が(まだら)模様になっちゃいますってば~」

あたふたと身を捩って逃げようとすれば。

「世界にオマエだけだぞ? オレのハンコ付きの女は」

鏡越しに、したり顔で言われ。
思わず真っ赤にはにかんで、何も言えなくなった私です。


近頃の佐瀬さんは、甘いというか妖しいというか、ものすごく色気に当てられるというか。
そう言えば千里さんも言ってましたっけ。女泣かせだった、って。

出会った頃の、ちょっと愛想も素っ気もない佐瀬さんと、どっちが好きということもないですけど。・・・・・・どっちが好きでしょう?


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