恋は、秘密主義につき。
今年は9連休になったゴールデンウイーク。
レーベングループ内でも事業部門によって違いもあり、征士君のところは少し短い6連休なのだそう。その代わり、日頃からリフレッシュ休暇などを積極的に活用するよう推奨されているのだとか。

『みんな休みも出勤時間もまちまちで、フレックス制みたいな感じだから、その辺が総合商社のパートーナーとは違うのかもな』


征士君にとっては連休初日、お天気もまあまあ。二人ともわりとカジュアルなパンツスタイルで、車はインターチェンジから高速道路に乗ったばかり。
今日は歩きやすい恰好で、と先に言われていて足許も底が平たいシューズを選んだ。どうやら山あいの方面に向かっているようだった。

電話で何度か話をしていたせいか前回ほどの緊張も無いし、ずいぶん気軽にお喋りも出来ていると思う。お互いの会社の雰囲気や、オフレコの話なんかも。

「そう言えば、征士君はお誕生日はいつですか」

ママが気にしていたのを不意に思い出して尋ねる。

「26日だよ」

「いつの?」

「今月の」

「・・・それは急ですね」

目を丸くしながら答えると、フロントガラスから視線を外さなないままで彼が可笑しそうに笑った。
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