恋は、秘密主義につき。
声音に何かを感じ取ったのか、こっちを向いた眼差しが引き締まったように見えた。

「何でも答えるよ。レイちゃんには、俺をぜんぶ分かって欲しいって思ってる」

背筋を伸ばした姿は凛と。甘い顔立ちなのに、男らしさを漂わせて。
嘘のない本心だと伝わってくる。
だから私も、思ったままを征士君にぶつけることができた。

「私と結婚したいのは、フレイエムの為ですか?」

楠田家と姻戚関係を持つことが目的なのかを直球で。
どう答えるのか。純粋に知りたかった。

彼はほんの少し目を見張り、それから。真顔で私を見据えた。

「全くないとは言わない。楠田との繋がりが、鳴宮の未来を広げるチャンスになるって考えもあるよ。実際、両親から結婚をけしかけられたりもした。・・・そう言ったら、レイちゃんはもう俺とは会わない?」
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