そのままの君が好き〜その恋の行方〜
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梅雨が明け、世間ではそろそろ夏休みなんて声が聞こえ始めて来る時期。
ちなみに、私達公務員は、休日はカレンダー通りだから、いわゆるお盆休みみたいものはなく、夏休みは7月〜9月の間に交代で取る。
社会人になってから、過去2回の夏休みは由夏や大学時代の友人と合わせて取ったが、今年はあれ以来、由夏とは完全断絶状態だし、他の友人達ともタイミングが合いそうにない。
だから、というわけではないが、和樹さんと一緒に取るというプランが進行している。私達の交際は、順調だった。
平日に会うことはまず難しい私達だから、週末のデートは欠かせない。絵里ちゃんがいて、2人きりという時間はなかなか作れないけど、3人でいろいろなところに出掛け、ある時は和樹さんのマンションで一緒に過ごし、私達は少しずつ、絆を深めている。
この日、海辺にドライブに来ていた私達は、沈み行く夕日を車の中から眺めていた。
「キレイだね。」
「ああ。なぁ加奈。」
「うん?」
「今日も一緒に来てくれて、ありがとう。」
「ううん。私こそ、楽しかった。ありがとう、和樹さん。」
後ろのチャイルドシートでは、絵里ちゃんがスヤスヤとおやすみ中。それまで、絵里ちゃんの隣の席で、ずっと彼女のお相手をしていた私はようやく、助手席に座って和樹さんと手を繋いで、夕日に見入っている。
最近、たまにだけど、絵里ちゃんが私を「ママ」と呼び間違えることがある。慌てて「加奈ちゃん」と呼び直す姿が、また可愛いのだが、それだけ私に心を許してくれてるのかと思うと嬉しくなる。
もうすぐ加奈ちゃんの5歳の誕生日がやって来る。どこでお祝いしてあげようか、そんな相談も、し始めている。
だけど、その一方で、私達の前に横たわっている難問が、解決の方向に向かっているとは、とても言い難い。
毎週末、いそいそとおめかしして出掛ける娘の姿に、ようやく彼氏が出来たかと、両親は思ってるに違いないが、私はまだ何も話せていない。
むろん、お互いの両親に紹介し合うなんて、段階ではないのだが、父親あたり、そろそろ家に連れて来いくらいは言い出しかねない。
逆に奥さんの実家に知られでもしたら、これが娘の失踪の原因かと、あらぬ疑いをかけられないとも限らない。
「事件性、事故性が薄いとなると、警察の動きは極端に鈍くなる。予想はしてたけど、ここまでとは思わなかった。」
帰路の途中、和樹さんがこんなことを言い出した。
「もうすぐ半年だ。このままじゃ、どうにもならない。君にも申し訳ない。」
「・・・。」
「興信所を頼もうと思う。」
「興信所?」
「費用がバカにならないんで、躊躇ってたんだが、向こうの実家にも、半分出すように交渉した。とにかくケリをつけなきゃ、俺達の方が、悪いことをしてるみたいになってしまう。」
興信所と言う所があって、この手の調査に活躍してるとは、聞いていたけど、まさか自分の身近で、彼らの存在を意識させられるなんて・・・私はドラマや小説の中のような話に思え、実感が湧かないまま、和樹さんの話を聞いていた。
ちなみに、私達公務員は、休日はカレンダー通りだから、いわゆるお盆休みみたいものはなく、夏休みは7月〜9月の間に交代で取る。
社会人になってから、過去2回の夏休みは由夏や大学時代の友人と合わせて取ったが、今年はあれ以来、由夏とは完全断絶状態だし、他の友人達ともタイミングが合いそうにない。
だから、というわけではないが、和樹さんと一緒に取るというプランが進行している。私達の交際は、順調だった。
平日に会うことはまず難しい私達だから、週末のデートは欠かせない。絵里ちゃんがいて、2人きりという時間はなかなか作れないけど、3人でいろいろなところに出掛け、ある時は和樹さんのマンションで一緒に過ごし、私達は少しずつ、絆を深めている。
この日、海辺にドライブに来ていた私達は、沈み行く夕日を車の中から眺めていた。
「キレイだね。」
「ああ。なぁ加奈。」
「うん?」
「今日も一緒に来てくれて、ありがとう。」
「ううん。私こそ、楽しかった。ありがとう、和樹さん。」
後ろのチャイルドシートでは、絵里ちゃんがスヤスヤとおやすみ中。それまで、絵里ちゃんの隣の席で、ずっと彼女のお相手をしていた私はようやく、助手席に座って和樹さんと手を繋いで、夕日に見入っている。
最近、たまにだけど、絵里ちゃんが私を「ママ」と呼び間違えることがある。慌てて「加奈ちゃん」と呼び直す姿が、また可愛いのだが、それだけ私に心を許してくれてるのかと思うと嬉しくなる。
もうすぐ加奈ちゃんの5歳の誕生日がやって来る。どこでお祝いしてあげようか、そんな相談も、し始めている。
だけど、その一方で、私達の前に横たわっている難問が、解決の方向に向かっているとは、とても言い難い。
毎週末、いそいそとおめかしして出掛ける娘の姿に、ようやく彼氏が出来たかと、両親は思ってるに違いないが、私はまだ何も話せていない。
むろん、お互いの両親に紹介し合うなんて、段階ではないのだが、父親あたり、そろそろ家に連れて来いくらいは言い出しかねない。
逆に奥さんの実家に知られでもしたら、これが娘の失踪の原因かと、あらぬ疑いをかけられないとも限らない。
「事件性、事故性が薄いとなると、警察の動きは極端に鈍くなる。予想はしてたけど、ここまでとは思わなかった。」
帰路の途中、和樹さんがこんなことを言い出した。
「もうすぐ半年だ。このままじゃ、どうにもならない。君にも申し訳ない。」
「・・・。」
「興信所を頼もうと思う。」
「興信所?」
「費用がバカにならないんで、躊躇ってたんだが、向こうの実家にも、半分出すように交渉した。とにかくケリをつけなきゃ、俺達の方が、悪いことをしてるみたいになってしまう。」
興信所と言う所があって、この手の調査に活躍してるとは、聞いていたけど、まさか自分の身近で、彼らの存在を意識させられるなんて・・・私はドラマや小説の中のような話に思え、実感が湧かないまま、和樹さんの話を聞いていた。