そのままの君が好き〜その恋の行方〜
高校の卒業式の日。悠は、白鳥さんと仲睦まじく、学校を後にして行った。私は由夏と校門に向かっていた。


すると、突然由夏の腕を掴む男子が。クラスメイトの塚原聡志(つかはらさとし)くんだった。幼なじみで、ずっと慕い合ってたくせに、意地を張り合い、素直になれないまま来てしまった由夏と塚原くん。


強引にどこかに塚原くんに連れて行かれる由夏を、手を振って、私は見送った。


(由夏、よかったね。これで1人ぼっちは私だけ。でも私だって、大学で2人に負けないくらいの素敵な恋を見つけて見せるから!)


そう意気込んで、希望に胸膨らませて、大学に入ったのに・・・。


出足で躓いた私の恋物語は、それからも悲しいくらい空回りを続けた。


告白して、玉砕するのは、仕方ないし、諦めるしかない。友達の紹介で、初めてのデートに臨んでみれば、ガチガチに緊張して、ほとんど盛り上がることなく、それっきり、その人からのお誘いはなし。


少しして、生まれて初めて告白されて、舞い上がっていたら、しっかり二股を掛けられていて、修羅場に巻き込まれて呆然。


「私って、恋愛に向いてないのかな。」


すっかり、自信を失った私は、定例会でこう嘆くと


「そんなことないよ。」


「たまたまついてなかっただけだよ。そんなに落ち込まないで。」


悠と由夏は、そう言って慰めてくれるけど、すっかり怖気づいた私は、恋は諦め、目標の公務員になる為の勉強に勤しむことになった。


悠や由夏、それに大学で出来た友達がいてくれたから、高校時代の完全な二の舞にはならなかったのは、せめてもの救いだった。
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