そのままの君が好き〜その恋の行方〜
あれから1週間。11月末日をもって、私は半年間の実習期間を終え、本省に戻ることになった。


ハローワーク勤務最終日、私は希望して、久しぶりに相談窓口に座った。久しぶりだね、なんて声を掛けてくれる相談者さんも居たが、その人は、つまりなかなか希望の仕事に巡り会えずに、苦戦してるということ。


今日もいくつかの仕事を紹介したが、あまり満足いく内容ではなかったようだ。また来ますと言って、帰って行ったが、今の私は、今後のご健闘を祈ることしか、もう出来ない。


お昼休みは、この半年、何度通ったか、わからないくらいの例のファミレスで、最後の昼食を。ここで、沖田くんと思わぬ再会をしたのも、懐かしい思い出だ。


そして、沖田くんのことを考えると、どうしても1週間前の、悠の結婚式のことを思い出してしまう。


式自体は盛大で、悠と先輩の前途を祝福する素敵なものだった。披露宴や二次会で久々に会ったクラスメイト達との時間も楽しかった。


だけど、私は偶然、沖田くんと唯さんの会話を耳にしてしまった。


唯さんを忘れられずに、いまだに苦しんでいる沖田くんに、彼氏との仲睦まじい様子を見せつけながら、彼女は、本当は、まだ沖田くんが好きだと言おうとしていた。沖田くんからもらった思い出の品を今も肌身離さず、身に着けてると言った時には、正直耳を疑ってしまった。


そんなものを身に着けながら、唯さんは彼氏と愛を語らってるのだろうか?そんなことを言って、沖田くんが喜ぶとでも思ったのだろうか?


私は、唯という女性に、嫌悪感を抱かざるを得なかった。


そして、それでも尚、唯さんへの想いを捨て切れない沖田くんの姿を見てしまった私は、内心決めていた彼への再アタックの思いを封印することにして、その後の時間を過ごすしか、なかった・・・。
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