そのままの君が好き〜その恋の行方〜
年が明けた。慌ただしい年末を超え、社会人になって3年目、25歳になる年が来た。


仕事納めの後、とりあえず1年サボった部屋の大掃除、そして大晦日はお母さんのお手伝いで、料理の真似事を。私の作った年越しそばを、嬉しそうに食べてくれるお父さんの顔を見て、多少は親孝行になったかなと勝手に思っていた。


元日はお母さんと、デパートの福袋目当てのショッピング。年初めの運だめしのつもりで、毎年行っているけど、なかなか掘り出し物には当たらない。


と、ここまで、あまり人に大声では話せないお正月ブレイクを過ごして来た私。でもやっと2日になって、若者らしいスケジュールが。


本当に久しぶりに、高校時代の仲間6人で、初詣に出掛けるのだ。男女3人ずつのグループ、3組のカップルのユニット・・・なら、よかったんだけど、ね。


早いもので今から6年前、高校卒業間近に控えた私達は浅草に遊びに行った。その懐かしの浅草寺が、今日の目的地。


あの時は、当たり前だけど、みんな実家暮らしで、高校の近くのファミレスの前で、待ち合わせしたけど、今や白鳥さんと悠は、都内で愛の巣を設け、普段は仙台で頑張る塚原くんは、今日は実家から、近所に住む恋人の由夏と当然一緒に。


ということで。現地集合の今回、私は1人で行くつもりだったんだけど、都内で1人暮らしの沖田くんが、正月はこっちに帰って来てるということで、最寄り駅の近い私達は、一緒に行くことになった。


「おはよう、桜井さん。」


待ち合わせ場所の私の最寄り駅に着くと、沖田くんは既に待っていて、私に笑顔をくれる。


「おはよう。ごめんなさい、待たせちゃったね。」


「そんなことないよ。今年も宜しくお願いします。」


「こちらこそ、宜しくお願いします。」


最近はメル友状態の私達。あけおめメールは既に交わしてたけど、直接会ったから、改めて新年のご挨拶を。


今年もよろしく、か。常套句だから、仕方ないんだけど、高校卒業以降の私達は、そんな挨拶を交わせる関係じゃなかった。


それが変わって行くキッカケの1日になる、のかな・・・。
< 57 / 177 >

この作品をシェア

pagetop