初恋告白文(完)



ですが、思うようにはいきませんでした。



姿を見かけるだけで胸が高鳴りました。



廊下ですれ違ったりなんかすれば、心臓の拍が相手に聞こえるのではないかと思い、呼吸を止めてみたりしました。



朝、Aが教室にくる時間を見計らって、ロッカーに用事がある風を装い、廊下で挨拶を交わしたりしました。



他の人と話しているのを見て、一丁前に嫉妬したりもしました。



姿を見るだけで安心し、笑顔を向けられると幸せに満たされ、挨拶をするだけでも天に昇る想いです。



そんな調子で嫌えるはずもなく、しばらくは、気づかれはしないようにとその恋を楽しんでいました。



このままではいられないと感じたのはそれからすぐのことでした。
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