一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

「俺も、楽しかった。また来ようね?」
「えっ?」

 その言葉に驚きを隠せず、目を見開く。晴正さんの表情がみるみる曇っていく。

「嫌だった?」
「そんなっ! 違います! ……は、晴正さんは、また私とお出掛けしてくれるんですか?」

 私の問いかけに、彼は驚いた顔をしたあと、正面から真剣な眼差しになった。

「美月が良いのなら、俺は何度でも美月とデートしたい。これからずっと、美月とだけ、デートしたいと思ってる」

 とても真っ直ぐな瞳で見つめられ、テーブルの上で手を握られた。

(私と、だけ? そんなのまるで……)

「美月の顔、赤い。可愛い。困らせてごめん。……行こっか。」

 そうして私たちは、夕日が見える海辺を二人並んで歩く。涙が出そうなほど綺麗な夕日が眩しくて、晴正さんの横顔が見えづらくて。

 結局、なんと私は振られることのないまま、晴正さんのマンションへと帰宅。
 私の気持ちが分かってて何故何も言わないんですか? 困ってませんか? 色々聞きたいことはあるけれど、聞けずにその日は眠りについた。
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