一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

☆モヤモヤします


 今夜の夕食は棒棒鶏。それから、中華スープと茄子の煮浸し、揚げ出汁豆腐。
 ここ数日猛暑日が続いているので、さっぱりにしてみた。

 事務所内で色々あってから、晴正さんと朝食だけでなく、夕食も一緒に取るようになった。仕事が忙しくても一緒に帰宅して、一緒に食事の用意をしたり、時には外食して家まで送り届けてくれるのだ。近いとはいえ暑いので、この往復が申し訳ない。

 今日も事務所から一緒に帰宅した。優しい晴正さんは、きっと責任を感じているのだろう。

 今まで以上に気を配り、可能な限り側に居てくれる。無理をしていないか、とても心配だが、何度聞いても「美月とずっと一緒で嬉しいから」と誤魔化されてしまう。

 私も、何故か一緒に過ごす時間がとても心地よくて、とても嬉しくて、強く辞退できずにいる……。

「今日のご飯もうまい!」
「ふふっ。ありがとうございます」

 やはり一人より二人で食べた方が美味しいし楽しい。ちなみに今日は私が料理を作る間に、お部屋の掃除とお風呂掃除を引き受けてくれた。
 晴正さんは本当に優しい。

「そういえば、再来週、花火大会があるんだけど、この窓からすごく綺麗に見えるんだよ」
「素敵ですね! 見たいです!」
「じゃあ今年はここで一緒に見ない? 二人でお酒でも飲みながら」

 そう言った晴正さんは、少し不安げな表情だ。私が断るかと思っているのかしら。
 そんなの、絶対、ないのに。

「……はい! 二人で見ましょうね! 約束です!」

 お誘いが嬉しくてはしゃいだ声になってしまった。でも晴正さんも嬉しそうに笑っていて。

「楽しみにしてる」

 その笑顔が驚く程、眩しく見えて。
 私はご飯を食べつつも、その後は上手く晴正さんを直視出来なかった。
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