legal office(法律事務所)に恋の罠
「このあと13時から仲川芸能事務所の社長と約束をしています。交渉内容はこちらの書類の通りでいこうかと考えております。私に一任していただけますか?」

莉音は兄の顔を眺めるだけで、どうすればいいか判断できずにいる。

「いえ、私も同行させてください。桜坂の子女に手をかけようとしてタダですむと思われては癪ですので」

口角をあげて知的な笑みを浮かべる奏は、この機会に何らかの反撃したいと考えているようだ。

和奏には、それを邪魔する権利はないが、一緒に行動するのは気が重い。

まあ、湊介がいるから良いか...と和奏が考えていると

「それでは、僕は莉音さんを大学まで送っていきます。奏さんに夢谷をお任せしてもよろしいですか?」

と、湊介が徐に発言した。

突然何を言い出すのか?

珍しく、和奏が目を見開き、驚いた様子で湊介を見た。

「もちろんです。帰りも事務所まで送らせて頂きますよ」

「では、莉音さん、行きましょうか?」

「はい、山崎さん」

和奏の返事も聞かずに、湊介と莉音は執務室を出て行ってしまった。



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