legal office(法律事務所)に恋の罠
次に、奏が丸山に案内されたのは

ティーラウンジのアルバイト、柚木崎舞花のもとだった。

舞花が巻き込まれた背景は、七奈美よりももっと単純で馬鹿馬鹿しいものだった。

今時のゆとり世代の彼女には罪悪感とか使命感といったものは全くない。

楽して儲けて、そこに娯楽要素があれば更にいいと考えている。

宇津井は、そういう舞花に漬け込み、

奏に就労時間が契約違反であることを伝えるだけの、割りのいいバイトがあると伝えた。

実際に、舞花はティーラウンジで、主任から契約外の時間外を強要されたことがあったので、申し出には二つ返事で頷いた。

宇津井はさらに、その際、奏が若い子に靡かないか確かめたいので、試しに奏に腕を絡めて誘惑するふりをしてみてくれないか、と頼んだ。

舞花には、宇津井と奏は親友で、ちょっとしたイタズラを仕掛けたいと言って納得をさせた。

簡単に受け入れる舞花をみて、調子にのった宇津井は、

奏の彼女である和奏が社内のセクハラ被害を調査していることを告げ、

"奏に誘惑されたと舞花が告げたときに、無表情な和奏がやきもちをやく姿を奏に見せたいから協力してほしい。もちろん、和奏には後で自分からネタバラシをしておくから"

"もちろんバイト代も弾むよ"

と言って、舞花を唆した。

舞花に悪気は全くなく、宇津井の言葉を信じて、ちょっとしたイタズラの片棒を担いだ気でいたのが本音らしい。

これも裏サイトに自分の写真が載せられたこと、この件への関与が故意であることを疑われた場合には共犯者になること等を、松尾が舞花に伝えたところ、あっさりとネタバラシをしてくれたというわけだ。

< 80 / 107 >

この作品をシェア

pagetop