legal office(法律事務所)に恋の罠
問題の接待があった翌日、丸山との約束通り、奏は時間を作って、被害に遭ったとされる女性スタッフに会う時間を作った。

初めに話を聞いたのがハウスキーパーの戸松七奈美。

奏は丸山に案内されて、七奈美の働いている客室に向かった。

彼女はお客や上役からセクハラ被害に遭っていると言って涙を浮かべていた。

話を聞いているうちに過換気発作が起きたので、両肩を支えて深呼吸を促していた。

そのまま気を失ったので抱き止めた形になったのだが、これも撮影されていたらしい。

実は、宇津井の計画に彼女が巻き込まれたのには事情があった。

彼女が高卒で就職して働いているのは家庭の事情があるからだ。

七奈美の家は母子家庭で、現在、母親は病気で入院している。

稼ぎ頭の七奈美が仕事を辞めると収入がなくなり、母親の治療費が払えなくなる。

宇津井は、丸山から、七奈美がある固定客や上司から仕事中にセクハラ被害に遭っているとの報告を受け、弁護士として協力するから、言って、その現場を写真におさめることに同意させた。

しかし、宇津井はその写真を彼女の有利に使うのではなく、逆に男を誘惑している証拠にすると脅した。

必死に拒否する七奈美だったが、宇津井は相手にしない。

虚偽の報告を会社にされたくなければ、宇津井に協力して奏を陥れ、和奏に嘘の報告をしろと脅し、証拠隠蔽のためのお金も渡して逃げ道をふさいだ。

これは、

松尾から、裏サイトに写真が載せられたことを教えられた七奈美が、罪の意識から、本当のことを白状する気になったからわかったことだ。


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