legal office(法律事務所)に恋の罠
「和奏、奏くん」

その時、弁護士執務室のドアが開くと、山崎庄太郎弁護士と、息子の湊介が部屋に入ってきた。

「山崎先生、湊介くん、多忙な中、わざわざご足労頂きありがとうございました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

奏と松尾が椅子から立ちあがり頭を下げると、庄太郎は

"イヤイヤ"

と片手を振って苦笑いした。

「いえ、夢谷弁護士をこの仕事につけた時点で、あなた方を巻き込んだのはこちらのほうです。頭など下げないでください」

「莉音の件で山崎legal office を巻き込んだのはこちらの方なのに・・・」

「いえ、申し訳ないが、宇津井が弁護士資格を取った暁には、必ず和奏をモノにしようと画策してくるのはわかっていました。

あいつのお陰で、和奏は小池君と別れてから恋愛も結婚もできずにきました。

小池君も和奏も被害者です。

これ以上何かを企んだら目にものを見せてやるとあいつには伝えていたのに、目に余る行動は許せない。

もうこちらも我慢するつもりはありません」

そう言って、庄太郎はニヤリと笑うと紙袋の中から分厚い資料を取り出した・・・。

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