legal office(法律事務所)に恋の罠
「・・・状況は理解しました。きっとこれなら勝てると思います。しかし、私もやられっぱなしではいられません。宇津井には、和奏さんを長期に渡って苦しめた罪を背負って頂かないと」

奏が強気な笑みでハッキリと告げると

「その力があなたには十分あるし、だからこそ我々はあなたに賭けた」

と、嬉しそうに庄太郎が告げた。

「賭ける?」

和奏の怪訝そうな問いに、庄太郎は頷く。

「宇津井にぶつけるカードはより強固な方がいい。力をつけた和奏と、百戦錬磨の奏さんがタッグを組めば、名門のクオーターバックを倒せるんじゃないかと思ってね」

「こうなることを見越して、戦う準備をして、宇津井を待ち構えていたのね。悪趣味・・・」

庄太郎が急に大口の男性クライアントを押し付けてきた意味が和奏にはようやくわかった。

「私もどうせやるなら相手が立ち上がれなくなるまでやらせてもらいますよ。経済界における一策士としてね」

こうして、奏とHotel Bloomingを巻き込んだ、4年越しの和奏の静かな戦いは、ようやく決戦の時を迎えようとしていた。

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