legal office(法律事務所)に恋の罠
「私と彼女達の写真をHotel Blooming東京の裏サイトに張り付けるように林美麗に命じたのは宇津井さん、あなたですね」

「知らねえな」

顔を背ける宇津井は、この期に及んでもなお、部外者を装うつもりのようだ。

「戸松さんには、あたかも戸松さんがお客を誘惑しているかのようにでっち上げた写真で脅し、私を陥れる手伝いをさせた。しかも口止め料まで渡して。そうですね?」

戸松はしっかりと頷くと

「そうです」

と答えた。

「嘘をつくな。お前なんか知らねえよ」

「残念ですが、当事務所が集めた証拠には戸松さんを脅している証拠もきちんと揃えてあります」

戸松が隠し持っていたボイスレコーダーには、しっかりと宇津井とのやり取りが録音されていた。

「それに、そちらのグループ秘書の丸山さんと宇津井さんが男女の関係であることも共犯者であることもわかっています」

「ちょっと・・・、共犯者って何よ。私はこんな男と付き合ってはいないし、ましてや、犯罪に荷担なんてしてない・・・。誹謗中傷で弱ったCEOにつけこめば、追々、玉の輿になれるように協力してやるからって唆されただけよ」

「余計なことを言うな」

「何よ。ネットに載せるとか、拡散させるとか契約違反じゃない。ちょっと脅すだけって言ったのは誰よ!」

興奮して言い合う二人の姿は、呆れるぐらいに滑稽だった。

「えー?舞花もSNSの書き込み見たけど、あの写真、目隠しとかされちゃってたし、舞花のことも頭の悪いアルバイト生がまんまと騙されたみたいなひどい内容だった。頭にきたからほんとのこと書き込んでやったし」

舞花の書き込み内容は、CEOの親友に頼まれて、CEOの彼女にやきもちを妬かせるために協力したこと、その際、別のアルバイト代もその親友から受け取ったこと等をぶちまけていた。


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