海賊船 ~天下は誰の手に~
第3章「政宗の回想」
「聞いたか小十郎。武田が上杉を討ったらしいぞ。」

「ええ。私の耳にも届いておりますとも。」

「そろそろか………残ったのは織田と武田と俺たちか……」

「そのようですな……そろそろ決戦の日が近づいていることでしょう。織田が攻める準備をしているという噂を聞き申した。」

「そうか………なあ小十郎。戦の準備は明日からするとして、昔話でもしないか……?」

「昔話……と、申されますと?」

「お前が俺に光をくれた日の話だよ。」

「…………………」

「なんだ?照れてんのか?じゃあ勝手に話すぞ。俺の右目ができた日の話。」

そうして俺は椅子に腰掛け、海を眺め、眼帯をとる。

「確かあれは吹雪の夜だったかな……」

俺が父上の跡を継いでしばらくした時。俺が起こしたあの事件。父上を裏切った大内定綱(オオウチサダツナ)を恨み。小手森城の生きとし生けるものすべてを亡きものにした『小手森城の撫で斬り』。

………あれから周りの目がかわった。もともと右目の病気もあったが、あの事件から東北の人達は俺を冷たい目で見た。まあ俺達は互いに親戚のような状態でこんなに大きな事件が起きることはなかったからな。

だからあの事件は俺の人生を、そして東北の武将達の人生を大きく変えただろう。

みんな冷たい目をしていた。右眼も使えない状態。今までの伝統をぶちやぶっていったからな。

俺の世界は次第に冷たくなっていった。でも、俺にはそこしか居場所がなかった。冷たい世界で俺は死んでくんだと、そう思っていた。

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