2度目の忘れられない恋


その4ヶ月後、秀が入院することになる
癌の進行がはやく、
お医者さんにもう長くないと伝えられたのはこの頃だったかな…。

信じられない事実を突きつけられて、何も手につかなくて、

私の心が死んでしまいそうな毎日だった

「…みお」

「なに、?」

「俺のワガママ、聞いてくれる?」

「…いくらでも聞くよ。できるかぎりのことなら」

「おし、じゃあ沢山言わせてもらお〜
まず1つ目な。仕事は休まずに行け!」

「え、仕事?」

初めは意味がわからなかったけど、

秀の病気が分かってから2回程、仕事をキャンセルしたことがあった。

「俺は普段のみおも、仕事をしているみおも両方好き。
だから、俺のことばっかりじゃなくていつも通りの生活をして欲しい」

でもそうしたら、秀と会う時間が、
そう思っていると、私の考えていることが分かったのか

「大丈夫。俺はまだここにいるんだから。
時間のあるときに会いに来て?な?」

ポンポンと頭を撫でて、笑顔でお願いされる

「うん…分かったよ」

「よし、じゃあ2つ目。
俺がいなくなったら…、忘れて欲しくはないけど、自分を支えてくれる人を見つけて」

「…どういう事?」

「みおのことだから、俺の事を思ってこれから先、大切な人を作らなくなりそうだなって。」

「そんなの当たり前、」

「ほら、やっぱりそういうと思った」

だから今お願いしてるんだよって微笑まれる

「俺の最初で最後の彼女はみお。みおの最初で最後の彼氏も俺のはずだった…

でもこうなってる今、みおには俺で最後になって欲しくない」

どうして?どうしてそんな事言うんだろう…

「今の俺にとって、みおが幸せになれないことの方が死ぬことより苦しい。

だからお願い。俺を引きずったりしないで、前を向いて…?」

秀と私の頬に涙の筋ができた。

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