君の笑顔は、俺が絶対守るから。

迷いながらも、控えめに2回ノックする。


「一ノ瀬くん。もう寝ちゃった……?」


声をかけたあと、すぐにドアが開かれて一ノ瀬くんが顔を出した。


「佐倉。どうした?」

「ごめんね。あの、なんていうか。た、たいしたことじゃないんだけど……」


枕を抱きしめながら視線をさまよわせていると、静かな声で「恐いのか」と言われ、涙が出そうになった。

黙ってうなずくと、温かい手に手を握られて、部屋の中に引き入れられた。


暗い部屋の中を、一ノ瀬くんはためらいなく進む。

いつも朝の明るい光の中で見る部屋の印象とはちがって、まるで初めて来た部屋のように感じた。


「寝るぞ」

「……えっ」


短く宣言すると、一ノ瀬くんはベッドに上がり、横になる。

そして奥に詰め、ひとり分のスペースを開け、私を見上げた。
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