僕の宝もの
 

そうして、湊は僕の家の中だけでの変身に執着するようになる。


僕を信頼してくれているからなんだろうってこともあって、嬉しいは嬉しいけど。


こんな自分を受け入れてくれ、お礼のしようがないと泣いた湊に、ならば服を着た姿を必ず一目披露することを頼み、以来、毎度恒例となった見せる見せないの問答が今日も繰り返される。


「湊は、それよりこっちのほうが似合うよ」


「えっ……」


「変だなんて言ってないだろ落ち込むな。ピンクはピンクでも、人によって合うピンクがあるんだよ。湊は断然こっちな。――カフェオレ淹れてくるからもっかい着替えとけよ」


悔しいが、僕より背の高い湊を見上げると、安心したみたいに肩の力を抜いていた。


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