【完】さつきあめ〜2nd〜

「嬉しいなぁ~!ほんとぉ~に嬉しいなぁ!!」

居酒屋を出て、お店まで続く道を美優は子供のようにスキップしながらわたしの腕へ自分の腕を絡ませる。
まるで恋人同士のようなわたしたちを、隣で歩く涼は冷ややかな目で見ていた。

これは同伴出勤だ。

美優のラストの日。何が欲しいと聞いたら、さくらと同伴出勤がしたーい!なんて甘えた声で言ってきた。
もっと大切なお客さんがいるんじゃないの?と聞いても、さくらがいいと美優は譲らなかった。
元々今日の休みは美優のためにとってあって、この数ヵ月迷惑をかけた人たちにも謝りに行こうと思っていた。

シーズンズに行って、THREEに行って、会いたい人も謝りたい人も沢山いた。
勿論涼にもだ。なので、今回の飲みは全部わたしの奢りで、美優にも好きなボトルを好きなだけご馳走するつもりだった。

同伴のお店も美優に任せていたら、いつか皆で行った安い大衆居酒屋でいいと言われた。
どこに行くかより、誰と行くかのが全然大切だから、と美優は無邪気に笑った。

わたしがシーズンズに入った時からずっと一緒にいてくれて、THREEに移動になった時もついてきてくれた。どんな時だって1番の味方でいてくれた美優。でも美優にも美優の夢がある。
明日から、わたしたちは別々の道を歩く。美優はずっと夢だった美容専門学校へ、わたしは七色グループに残って、それぞれの夢を追いかける。

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