【完】さつきあめ〜2nd〜
どんなに好きだと言っても、2人のように信頼されていない。
その事実にわたしは傷ついていたんだ。そしてこの時確実に菫に嫉妬していた。

「さくら、俺おっさんに声かけてこようか?」

「止めてよ、涼。あの人仕事で来てるんだし、邪魔したらだめだよ」

「お前がいいならいいけどさ…」

その日、朝日は1時間程度THREEにいて、連れのお客さんと出て行った。
わたしの視線は何度も朝日をとらえていたけど、朝日は気づいたか気づいてないか一度も目すら合わなかった。
それでも何も言えなかった。 わたしには、何も言う資格がない。
朝日がこの先誰を好きになり、何人の女を抱いたとしても、それに対して何も言えないし、嫉妬なんて感情が芽生えてはいけないんだ。
それはわたし自身が選んだ道だったのに、どうしてこんなに悲しい気持ちばかり体の中を駆け巡っていくのだろう。自分で選んどいて傷つくなんて勝手すぎる。



< 118 / 826 >

この作品をシェア

pagetop