【完】さつきあめ〜2nd〜

お客さんから、こういった話は最近よく聞く。
宣伝費半端じゃないんじゃない?というくらい宣伝に力を入れているし、外観をネットの写真でしか見た事はないけれど、とても豪華だ。
値段設定も強気な、光がダイヤモンドグループを作ってから出した新店。
そこの顔として働いているのが、南。
涼の昔の彼女で、光とも一時期付き合っていた。
光はわたしを好きだと言ってくれていたけれど、きっと南とも未だに関係があるのだとは、思う。
それが彼女がEDENの顔である理由なのだと思う。


「そんなにいい店なんですかー?
でも是非うちにも沢山来てくださいね~!」

わたしは努めて明るく振舞ってはいたが、光のお店の話を聞くのは嫌だった。

「もちろんもちろん~!さくらちゃんみたいな可愛い子がいる店なら俺通っちゃおう!
それにさっき席についてくれた子も可愛かったし~!」

さっき席についた子というのは、紛れもなく美月だ。
美月は、指名の席で、お客さんに腕を絡ませて笑っていた。
テーブルの上に並べられた高級ボトル。派手な演出をするのが好きな子だった。それを見せびらかす事も。
嫌な人にとっては嫌だろう。けれどそれを辞める事もせずに、色恋営業といっても、あくまでも彼女は強気。
甘えながらも、媚びる事をしなかった。 目を惹く容姿も相まって、彼女を動物に例えると、気高いけれど、人に媚びない野良猫と言ったところだろうか。

< 165 / 826 >

この作品をシェア

pagetop