【完】さつきあめ〜2nd〜
「それにしてもあなたも大変ねー枕嬢とか色恋やらサイトでは噂されちゃって」
「それは…!!事実なんかじゃありません!!」
強く言うと、ゆりはこちらを睨みつけてきた。
「そんなの言われなくてもわかってるわよ。
大体あなたって噂で潰れるようなタイプでもないし、そんなやわな関係お客さんと築いていないでしょう?
ああやってサイトであなた潰しをしようとしてるのが誰かなんて、大体見当ついてるんじゃないの?」
「確証があるわけじゃないですし…」
「くそむかつくほどお人好しね。そんなんだから美月なんて小娘に舐められたりすんのよ
あなたって結局誰からもいい子ちゃんで見られたいのね?そんな甘っちょろい考えが根底にあるから、いつまで経ってもあたしに勝てないのよ」
ゆりの言葉は、わたしの胸を突き刺すほど真っ直ぐだった。
てっきりゆりには嫌われてると思った。憎まれているとさえ。
いや、嫌いは嫌いなんだろうけれど。
「ゆりさんは…本当にすごい人ですね」
わたしの言葉に、ゆりは怪訝そうな表情を浮かべた。
「何?馬鹿にしてんの?
自分を捨てた男の店で働いて、男の為に自分の身を削ってる健気な女だとでも?」
「そんなこと……」
馬鹿にしていたわけではない。そこまで人を愛せる事をすごいと感じていた。わたしにはない物ばかり持っていて、羨ましいとさえ。