【完】さつきあめ〜2nd〜

「それにしてもあなたも大変ねー枕嬢とか色恋やらサイトでは噂されちゃって」

「それは…!!事実なんかじゃありません!!」

強く言うと、ゆりはこちらを睨みつけてきた。

「そんなの言われなくてもわかってるわよ。
大体あなたって噂で潰れるようなタイプでもないし、そんなやわな関係お客さんと築いていないでしょう?
ああやってサイトであなた潰しをしようとしてるのが誰かなんて、大体見当ついてるんじゃないの?」

「確証があるわけじゃないですし…」

「くそむかつくほどお人好しね。そんなんだから美月なんて小娘に舐められたりすんのよ
あなたって結局誰からもいい子ちゃんで見られたいのね?そんな甘っちょろい考えが根底にあるから、いつまで経ってもあたしに勝てないのよ」

ゆりの言葉は、わたしの胸を突き刺すほど真っ直ぐだった。
てっきりゆりには嫌われてると思った。憎まれているとさえ。
いや、嫌いは嫌いなんだろうけれど。

「ゆりさんは…本当にすごい人ですね」

わたしの言葉に、ゆりは怪訝そうな表情を浮かべた。

「何?馬鹿にしてんの?
自分を捨てた男の店で働いて、男の為に自分の身を削ってる健気な女だとでも?」

「そんなこと……」

馬鹿にしていたわけではない。そこまで人を愛せる事をすごいと感じていた。わたしにはない物ばかり持っていて、羨ましいとさえ。

< 210 / 826 >

この作品をシェア

pagetop