【完】さつきあめ〜2nd〜
わたしは、わたしの手の中に持つ全ての物。大切だと思う全てを、両手いっぱいに抱えて、大事にしたかった。
何ひとつ捨てたくない物ばかりで、でも両手はいつの間にか自分の力じゃ抱えきれない程重くなってしまって、結局ボロボロと零れ落ちた。
本当に大切な物を失わない為に、捨てたくなくても、捨てなくてはいけない物たちがあの頃沢山あった。
光は嘘をまとっていたあのお城で、どんな夢を見ていた?
何度も変わらないよ、とわたしの気持ちは変わらないよ、と言い続けたわたしをどんな気持ちで見ていたのだろう。
今なら、光があの時わたしの手を離した気持ちも少しはわかるような気がするんだよ。
大切な人を守るために、大切な人を手放す。
人の気持ちさえ容易く変わって行ってしまう世界で、変わりゆく人々の感情の波にさらわれて、きっとあなたも寂しくて孤独な人のひとりだったのだから。
「じゃあ…」
お別れは余りにもあっけなかった。
1ヵ月ちょっと。余りにもあっけない別れとは対称的に深い程濃密な日々があった。
わたしは好きな人に無理やり処女を奪われた。
それでも大好きな人の体温に触れる事は幸せな事で、許せない気持ちと、深い快楽の中でいつまでも起き上がれないほど、溺れていた。この時間がいつまでも終わらないように、これ程までに自分の気持ちに素直に生きた日々は初めてだったのかもしれない。
わたしは朝日に愛されて、朝日を愛しながら、憎んでいた。愛してるからこそ、憎んでいたし、許せなかった。
何ひとつ捨てたくない物ばかりで、でも両手はいつの間にか自分の力じゃ抱えきれない程重くなってしまって、結局ボロボロと零れ落ちた。
本当に大切な物を失わない為に、捨てたくなくても、捨てなくてはいけない物たちがあの頃沢山あった。
光は嘘をまとっていたあのお城で、どんな夢を見ていた?
何度も変わらないよ、とわたしの気持ちは変わらないよ、と言い続けたわたしをどんな気持ちで見ていたのだろう。
今なら、光があの時わたしの手を離した気持ちも少しはわかるような気がするんだよ。
大切な人を守るために、大切な人を手放す。
人の気持ちさえ容易く変わって行ってしまう世界で、変わりゆく人々の感情の波にさらわれて、きっとあなたも寂しくて孤独な人のひとりだったのだから。
「じゃあ…」
お別れは余りにもあっけなかった。
1ヵ月ちょっと。余りにもあっけない別れとは対称的に深い程濃密な日々があった。
わたしは好きな人に無理やり処女を奪われた。
それでも大好きな人の体温に触れる事は幸せな事で、許せない気持ちと、深い快楽の中でいつまでも起き上がれないほど、溺れていた。この時間がいつまでも終わらないように、これ程までに自分の気持ちに素直に生きた日々は初めてだったのかもしれない。
わたしは朝日に愛されて、朝日を愛しながら、憎んでいた。愛してるからこそ、憎んでいたし、許せなかった。