【完】さつきあめ〜2nd〜

「いつか許せたら…とも思う」

「朝日、大人になったな」

「そりゃー俺も30にもなったらそれくらい…」

「そうか、お前はいつの間にか俺がかすみと出会った時のかすみの年齢もとっくに通り越したんだな。
そう考えると時間が経つのは早い…」

「ジジイみてぇな事言ってんじゃねぇよ……」

「はは、私はもうすっかりジジイだろう。
茉莉花はいつも会社を継ぐのは光だって言い続けてきたけど…私的にはそういうのは結構どうでもいいと言うか…
俺の遺せる物はお前たち3人平等だと思ってる」

「あの人が許すわけねぇだろ。
それに俺はあんたに何かしてもらわないと何も出来ないような子供じゃない。
自分の力で会社を持って、自分の力で未来は切り開いていく」

「あの時の私に、お前のような強さがあればな……
お前には辛い想いばかりさせてしまったけれど、朝日は立派だと思うよ」

「うるせぇな!そんなのもういいって!」

欲しかった物なんて、こんな何気ない一幕だったりして
何でもない日の、特別じゃない会話。
そんなどこにでもありふれているものに憧れた。



「朝日………
私は父親らしい事なんて何ひとつしてやれなかったけど…
本当に困った事があったら頼っておいで」

「へっ!俺は光なんかと違うね」

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