【完】さつきあめ〜2nd〜

焦っていても、結果は必ず出る。それなら最後まで諦めないって、この勝負を受けた時から決めていた事だ。

「ゆりちゃんおめでとう!!」

「ゆりさん!おめでとうございます!」

お祝いの声が店内を響き渡っていく。
そして真ん中で微笑むゆりは、この間までペースを崩しかけていたゆりとは全然違う。
わたしがナンバー1である。その顔はどこか誇らしげで、自信に満ち溢れていた。

驚くくらい高価なシャンパンが恐ろしいスピードで空けられていく。
黒服もヘルプのキャストも営業が終わる時間には死んだように更衣室や店内で倒れて行った。
ナンバー1のバースデーは恐ろしいほどの金額を叩きだして、1日目にして僅差になっていた売り上げは一気に引き離されていった。
わたしの売り上げが下がったわけではない。
雪菜たちの力もあって、売り上げは伸びていく一方だった。
それでもゆりのバースデーは特別な物だった。そこに珍しく不安をもらしたのは誰でもない雪菜だった。
わたしをずっと叱咤激励し続けた本人。


< 649 / 826 >

この作品をシェア

pagetop