【完】さつきあめ〜2nd〜

「いや、きっついわぁー…」

「雪菜さんだいじょうぶですか?」

声を掛けたのはるなで、そのるなもいつもよりお酒が入ってるように感じた。
愛にいたっては営業間際で潰れた。
ゆりのバースデーに協力したわけではなかった。わたし指名の卓で、皆それぞれ売り上げを伸ばしてくれていった。

「雪菜さん!あんまり無理しないでください……。
飲みすぎですよ…」

わたしが言葉をかけると「誰の為に…」と雪菜は更衣室の椅子に座って項垂れた。

「ゆりが凄いのなんてずっと知ってたけど……
さすがにきついなって事…。体は全然だいじょうぶ」

いつだって余裕だった雪菜に、ここまで言わせてしまうなんて。

「こっちは変わらずに良い売り上げ出してんのに…悠々自適で更にその上言っちゃうんだもん…
ほんっと恐ろしい女………」

雪菜にかける言葉が見つからない。
だって雪菜がボロボロになってまで頑張ってくれているのは、わたしの為だった。
雪菜だけじゃない。愛やるなだって…。わたしのヘルプとして協力してくれているONEの女の子たちだって、誰一人といて手を抜いている人なんていないのだから。
全ての責任があるとすれば、結果を出せないわたしだ。

誰よりもお酒を飲んで、その場を盛り上げてくれた菫は酔っ払いもしないで
ただただ釈然としたまま着替えていた。

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