【完】さつきあめ〜2nd〜

高橋は一瞬止まって、わたしの背中を大きく叩いた。

「人徳って奴だよ!!」

「もぉー!痛いなぁ!!!」

「お前ってやっぱりすげぇ奴だな。
つーか俺が思っていた以上にすげー奴になった!」

心なしか、高橋は嬉しそうで。

「いつまで経っても人に頼りきりで、何も出来ない奴だけどね」

「この世界に置いて義理と人情が最後は大事になってくるって聞いた。
お前がいままで大切にしてた縁や絆が身を結んだって事だろ。
それって誇りに思っていいと思う。

次の卓は綾乃さんとはるなさん。出勤前の同伴に来てくれてるって言ってた」

「…うん、さっき由真さんから聞いたよ。
ふたりとも頼んでないのに…絶対こういう時に来てくれる人だもん」

「それにもうひとり、さくらが凄く喜ぶ人が来てくれているよ」

「喜ぶ人?」

高橋は柔らかく微笑み、綾乃たちの卓へ案内してくれた。
綾乃たちの卓はいつも知った通りのメンツで、テーブルにはシャンパンやワインが並んでいた。
まるでパーティーみたいだった。
惜しげもなくお金を使わせるキャバ嬢なら、ここにだって…。
ふたりだってシーズンズに出勤して、シーズンズでお金を使ってもらう方が自分たちの売り上げになる。けれどそれを知っていて、ここでお金を使ってくれている。
そんな優しさをいつまでも返せないままだった。

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