【完】さつきあめ〜2nd〜

わたしの手を掴んだのも、わたしを抱きしめたのも

わたしを必要と言ってくれたのも

わたしを傷つけることさえ

今はもう、あなたしか出来なかったのに

それでも一緒にいられない未来がある事を
何度も繰り返す夜の中で、それがたとえただの繰り返しで意味の持たぬ事だとしても
寂しい夜の中でひとりぼっちだと感じた日でも、あなたを想えば救われる夜はあった。
あなたの笑顔を想えば、いつだって優しい気持ちになれる。

それでも

落日の先に

いつも探してしまう。

捨てたくなかったのに、捨てる選択しか出来なかった

大切なものたちを

けれど、落ちた陽の先にいつだって朝日は何度ものぼっていった。
わたしの感情なんてお構いなしに
毎日、毎日、どんなに絶望の中にさらされても、のぼる光りに
わたしはもう一度、大切な物をかき集めていく。
今度は指の隙間から、落とさないようにゆっくり、ゆっくりと、大事に抱きしめる。
好きだからさよならを言わないといけない恋があると知った。
好きだから素直に好きなままでいていい愛があるのを

わたしはちゃんと知っている。


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