【完】さつきあめ〜2nd〜

「それにあたしはやっぱりゆりさん程の影響力を持つ人間にはなれそうにもないよ…。
それにキャバ嬢やりながらメディアにも出て違う仕事していくのって不器用なあたしには全然向いてそうにないし
むしろキャバ嬢としても半人前なのに」

「それは言えてる」

「もぉー!!んな事ないよって言えないの?!あんたは!!」

皐月、そして七色グループの存続をかけての2週間のゆりとの売り上げ勝負。
わたしはゆりの売り上げを破り、ONEの歴代ナンバー1の売り上げを作った。

あの日の事は一生忘れない。
そして、それが自分ひとりの力ではなかったという事も。
わたしはひとりでは何も出来ない。 でも今は、それでいいと思っている。
ひとりでは何も出来ないのだから、誰かがいてくれる事を素直に受け入れられるから。

そしてゆりは約束通り、七色グループにとどまってくれた。
1月末にオープンした皐月に看板嬢として、驚く事にメディア露出と共に
光のグループ店でのメディア露出と三浦と約束していたはずが、そこにはカラクリがあった。

…七色グループの5店舗。それは今はもう、朝日の物ではない。

「いやぁ、でもびっくりしたなぁ…」

涼がぴたりと手を止めた夜の情報誌のページでは、光が写真とインタビューが載っていた。

「まさか、おっさんが七色を手放すとはなぁ……」

涼の顔は何とも言えない表情をしていて、こちらの顔色を伺っているようにも見えた。


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