【完】さつきあめ〜2nd〜

もしも自分だったら、と考える。
仕事をしながら、翔の面倒を見て、朝から晩まで働いて、愛情をたっぷりと注ぐ。
美月は今が1番幸せだと言い切る。でも、それは彼女の並々ならぬ努力があってこそ成り立っているもの。

いいお母さんなんて、見たこともないから分からないけど。そうやって自信なさそうに言っていた彼女がいた。
けれど、翔の笑顔を見れば、美月がどれだけいいお母さんだって事くらい、こんなわたしにでも分かる。

「こうやってたまにあたしの分のお弁当も作ってくれるの。
それにあの美月が、セールだって言ってスーパーやドラッグストアを飛び回ってる姿って……
昔の美月よりずっと素敵に見える。
いいお母さんだよ……」

「さくらもいいお母さんになりそうだけどね。
昔作ってくれたご飯も美味しかったし」

「昔ーーー?!昔っていつの話よぉ!!
最近なんて全然料理もしてないなぁ…。
作ってあげる相手だっていないし」

「あれぇ?!詐欺師の彼氏とは別れたの?!」

「だから!!さっきも美月ちゃんにも言われたし!
詐欺師なんかじゃないってば!!なんかネットで怪しいビジネスはしてたけど……
てか光…誰に聞いたの?」

< 806 / 826 >

この作品をシェア

pagetop