【完】さつきあめ〜2nd〜


「なんか綾と涼が言ってた…!
涼はあいつ婚期を逃すタイプだからどうにかしてやってくれって」

「涼は相変わらず余計なお世話なんだよ…。
それに全然結婚なんてする気もないし、文月もオープンしたばっかりだし
やることが多すぎて男なんて作ってらんないよ!」

「別に俺はさくらがいつ結婚したって大歓迎なんだけどね。
事実この5年間さくらはすごく頑張ってくれて七色グループにも貢献してくれたから
それを止める権利なんて俺にはない」

光はいつの頃からかふたりきりになってもわたしを夕陽と呼ぶ事はなくなっていった。

「だからー興味ないって!美月ちゃんなんかよりずっと子供だし!」

「まぁ、その気になればいつでも……
さくらには毎年薔薇を贈ってくる男もいるし」

「ありゃ、すでにもうネタだね。
去年なんか黄色の薔薇の花束贈ってきたから!!
調べたら、愛情の薄らぎだって!!」

光は声をあげてげらげら笑った。



朝日は、誕生日に欠かさずに薔薇の花束をわたしへ贈ってくる。
毎年色も本数もバラバラだったけど、必ず。
最近じゃあ、それもネタなんじゃないかって思うようになった。
それでも毎年、あの人がその日を忘れずに贈ってくれるという事実は嬉しかった。



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