壊れそうなほど。
「うん、ほんと可愛くない」

思わず心の声を口にすれば、電話口の啓吾は楽しそうに笑った。

『まあまあ。助けてもらうんだし、仲良くやんなよ』

仲良くというのは、互いの歩み寄りがあってこそ実現すると思うのだが。

まあいっか、どうせ2、3週間の付き合いだもの。

「はあーい」

胸元にかかる髪を指でくるくると弄びながら、欠伸のようにやる気のない返事をする。

毛先がだいぶ傷んでもう金髪だ。大学祭の前にカラーしに行こう、と思考は黒猫くんからすっかり明後日の方へ旅立った。

『あはは、渋々だな。……あ、そうだ。今週末なんだけど…』

土曜日に啓吾の実家に顔を出す件をしばらく話してから、彼との通話を終えた。
< 17 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop