私たちの六年目
それにしても……。


ここ一週間くらいの菜穂さんは、仕事を頑張り過ぎている気がする。


もちろん、いつでも頑張っているんだけど。


没頭し過ぎているというか、殺気立っているというか。


顔色もよくないことが多いし、なんだか細くなった。


菜穂さんを気にしつつも、必死に作業をしていたら、気がつけば12時になっていて。


昼食を食べるため、みんなが次々に作業部屋から出て行った。


だけど、僕はまだ作業を続けていた。


だって、菜穂さんがまだ一人で残って仕事をしていたから。


「あれ? 崎田君。もう休憩に入っていいのに」


僕に気づいて声をかけてくれる菜穂さん。


「そういう菜穂さんだって、もうお昼ですよ。ランチ行かないんですか?」


「……私はいいの。あんまり食欲ないし」


「夏バテですか?」


「まぁ、そんなとこ」


「だったら、なおさら食べないとダメですよ。

あ、そうだ。近くにインド料理のお店が出来たの知ってますか?

スパイシーなものなら入りませんか? 一緒に行きません?」


さりげなく誘ってみたけど、内心ドキドキしていた。


僕を警戒している彼女だから、きっと断られるんじゃないかと。


だけど。


「そうだね。行ってみようかな」


まさかのOK。


僕は、飛び上がるほど嬉しかった。
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