私たちの六年目
「痛い……」


突然、梨華がお腹を押さえた。


「梨華?」


何……?


一体、どうしたんだ……?


「痛い。

痛い、痛い……!」


顔を真っ青にして、ベッドにうずくまる梨華。


額には一気に汗が噴き出していた。


これは演技なんかじゃない。


本気で痛がっているんだ……!


「秀哉、お腹が痛い。

どうしよう。

怖い。

怖いよ……っ」


そう言って手を伸ばす梨華のそばに行くと、俺は彼女の背中に手を置いた。


「わかったから落ち着いて。

産婦人科の電話番号は?」


「……スマホに入ってる」


「わかった」


梨華にスマホを借りると、俺はすぐさま病院に連絡した。


症状を話すと、今すぐ受診するように言われて、俺と梨華はタクシーに乗り込んで産婦人科へと向かった。


俺の隣でお腹を抱えて痛がる梨華。


一体、どうなっているんだろう。


もしかして赤ちゃんが危ないのか……?


不安で。


複雑で。


心がどうにかなってしまいそうだった。
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