私たちの六年目
「うそっ! 梨華、恋人がいたの? いつから?」


郁未が、ガバッとテーブルに身を乗り出して尋ねた。


「んー……、今年の2月くらいかな?」


「2月? 今もう5月だぞ。水くさいなあ。

それならそうと、オレらに教えてくれても良かったのに」


「そうよー。

毎週会ってんのに、聞かされてないってどういうこと?

それとも何?

あたし達がフリーだから、気を遣っちゃった?」


郁未の問いに、ううんと首を横に振る梨華。


「あの人ってさ、オレ達よりずっと年上だよな?」


唯一、梨華の彼氏の姿を見ている守が言った。


「へぇー、年上なんだ。何歳なの?」


郁未は、梨華の彼に興味津々らしい。


「今35歳……。今年で36歳だよ」


35歳と聞いて、どよめく私達。


私達よりひと回りも上なんだ。


さっきから梨華には驚かされてばかりだな……。


「年が離れてるから、教えてくれなかったのか?」


秀哉が尋ねた。


「ううん、そうじゃない。

ただ、どうしても言えなくて……」


言えない?


それって、どういうことなんだろう……。


「おい、梨華。あの男の人ってまさか……!」


突然ハッと顔を上げる守。


そんな守を見つめながら、梨華は静かに頷いた。


「そう……。


彼は……、


既婚者なの……」
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