私たちの六年目
「菜穂。俺、どうすればいい……?」


秀哉のせつない声を聞きながら、私は目の前にあるグラスをただ眺めていた。


「もうとっくの昔に玉砕してるはずなのにさ……。

梨華のこと、まだ引き摺ってんだ……」


「うん……」


「忘れられるわけないよな。

だって、毎週会ってんだもん」


秀哉の言葉に思わず苦笑いすると、秀哉も同じような顔をしていた。


「まぁ……。

だったら、会わなきゃいい話なんだけどさ」


「そうだね……」


連絡先も消しちゃって。


二度と会わなければ、きっといつか忘れられるはず。


そして、新しい恋を探したらいい。


「でも……」


でも、秀哉はきっとそうしない。



「会いたいから、どうしようもない……」
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