私たちの六年目
「菜穂、急にどうしたの?

あんた、ちょっと変よ」


いつもと全く態度が違う私を見て、郁未が言った。


「変……?」


私が?


「変なのは……。

おかしいのは……。

私じゃなくて、梨華の方でしょう?

だって、そうじゃない。

一度は秀哉を振ったくせに、自分が困った状況になったら、秀哉の手を取るの?

そんなの自分勝手過ぎると思わない?」


私にこんなことを言われるなんて思ってもいなかったんだろう。


梨華が、驚愕の表情を浮かべている。


「だから、あの時みんなが言ったじゃない。

不倫なんてやめておけって。

それなのに梨華は、その忠告を一切無視して、勝手に不倫に走って、子供まで作って。

挙句、相手の男性に捨てられて……。

そんなの自業自得でしょう?」


自分が一番かわいそうみたいな顔をしているけど。


全ては自分で蒔いた種じゃない。


産んで苦労しても、産まずに後悔したとしても。


それは、梨華の人生じゃない。


それなのに、なんでそこに秀哉を巻き込もうとするの……?
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