恋の宝石ずっと輝かせて2
10
 自ら誘ったとはいえ、仁は上手く会話ができず、気まずくて次第に瞳との歩調がずれてくるようだった。

 さらに自分が帰る方向とは全くの逆で、意味もなく一緒にいると、何をしてるんだろうと自分でも訳がわからなくなってくる。

 時々、楓太が後ろを振り返るが、それが様子を探られているようで、余計に落ち着かない。

 しかし、とうとうヤケクソになり、何かを聞きだしたいがために無理をして質問することにした。

 まず「えへん」と喉をならして、その後は勢いをつけて話した。

「あのさ、楓太っていい犬だけど、なんでそんなに怪我したんだろう」

 恐る恐る瞳の様子をさぐると、瞳は対照的に生き生きとした目を向けている。

「楓太は時々変わった行動をするんですよ。楓太にしてみれば、主を守るような責任感の強いところなんでしょうけど、私の目からみたら他の犬に縄張りを荒らされるのがいやで先手必勝の宣戦布告をしているように思えます。自分が強いんだって誇示したいんでしょうね」

 それを聞いて仁はふとトイラのことを考えた。

 トイラも体中に傷を沢山負っていた。その理由としては森を守るために戦ってきたことだったが、楓太も同じようにそういう使命をニシナ様に与えられているのだろう。

「楓太も大変だね」

 楓太は振り返ることもなく、話の意味など分かっていないとでも言いたげに、そっけない態度で歩いていた。

 他にもっと楓太のことを聞こうとしたが、瞳が勝手に話題を変えてしまい、仁の方が質問攻めとなってしまった。

< 109 / 253 >

この作品をシェア

pagetop