恋の宝石ずっと輝かせて2
「(そこまでされたら貰うしかないじゃないか)とにかくありがとう」

 断りきれなかったことでストレスをまた感じ、仁は益々体の調子が悪くなっていく。

 頭もぼーっとしてくるように意識が遠のきかけた。

 そして折角受け取った石が手から滑り落ちていく。

 ゴロンという石が落ちた音ではっとすると、慌てて石を拾い、シャツの胸のポケットに入れた。

「あっ、ご、ごめん」

「先輩、どうかしたんですか? 今、なんかふーって崩れそうだった。もしかして具合でも悪いんですか?」

「いや、なんでもないんだ。でもなんか暑いかも」

「あっ、そうですよね。じゃあ涼しいところ行きましょうか。熱中症だったら危ないです」

 瞳が慌てて立ち上がり、仁もそれに続くが、どうもまだふらついてるようだった。

 頭もズキンズキンと痛み、血もドクンドクンと体の中を駆けていく。

 早く帰りたくてたまらなくなった。


 瞳の部屋を出て、一番最初に通された部屋に戻るとテーブルの上には色々と昼食の準備がされていた。

 野菜の煮炊きや漬物は自家製のものだと、準備をしていたお祖母さんが説明する。

 殆どが手作りで、それを誇らしげにしているようだった。

 そこで仁は先ほどの冷やし飴の原料は何かと訊いてみた。

 冷やし飴に何か変なものが入ってた疑いが濃い。

「あれも自家製の生姜をたっぷり使ってまして、そこに水あめと紅茶を混ぜてるんです。それでその紅茶もですね……」

 まだまだ瞳の説明が続くが、生姜と聞いただけで、仁ははっとした。

 風邪を引いたときに生姜湯を母親が作ってくれるときがあるが、あれを飲むと血行がよくなって必ず体が温まってくる。

 この体の火照り感は生姜のせいかもしれない。

 そこに、息苦しさとこの暑さで熱が余計にでてしまったのか、とにかくこれ以上この家にいるとどんどん悪くなっていくような気がした。

 だがさらにもっと居心地が悪くなることが起こった。
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