恋の宝石ずっと輝かせて2
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 仁はダイニングテーブルに着いて、頬杖をつきながら思案している。

 手持ちぶたさに石をはじき、もてあましていた。

 この石が重要な鍵にも見え、または新たなトラブルの元にも感じられ、仁はもどかしさのあまり粗末に扱ってしまっていた。

 石はクルクルとコマのように回っている。

 何か変化があってもよさそうなのにと、仁は期待してじっと見つめていた。

 さっきまで頭痛がしていたが、それもピタッとやんだのはこの石のパワーがなくなったからに思えてならない。

 ユキに見せた映像で全てのエネルギーを費やしたのかもしれない。

「結局この石、一体どうすればいい?」 

「そうね、当分は誰にも話さず、隠した方がいいんじゃないかな……」

 ユキはフライパンを片手に持って何かを炒めてる。

 時折り、仁の方を振り返るも、手首だけは忙しく動かす。

 石によってユキが映像を見せられたことでまだまだ話し合いたいとばかりに、夕方になっても仁は帰ることができない。

 そのためお腹が空いて、ユキが夕飯の用意をしていた。

「だったら、ユキもキイトを疑っているってことかい?」

「分からない。もし私が見た男がカジビだとしたら、キイトに平気で痛手を負わせられるかな。ふたりは仲がよかったってキイトもいってたんじゃなかったっけ」

「あのふたりの間には何かがあって、まだ僕たちが知らないことがあるってことなのかな」

「そうかもしれないわ。キイトの話がどこまで本当のことなのか、それを突き止めるまではその石のことはまだ黙っていた方がいいと思うの」

「だったらさ、セキ爺にそれとなく聞いてみるってのはどう? あの人なら山の長老だし、何か知ってるかも」

「だけどセキ爺もキイトの話に騙されてたらどうするの? セキ爺ははなっからカジビを今回の事件の犯人だと思っているし、キイトがそのようにコントロールしている可能性も考えられるでしょ」

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